薪窯焼成の三日間、工程と気をつけていること
著者:松田 沙織 — 工房主宰、
薪窯の焼成は、電気窯と違って温度を自動で管理できません。薪をくべるタイミング、空気の量、窯の中の炎の流れ。すべてを目と感覚で判断しながら、三日間火の前に立ち続けます。Lineage Coreでは春と秋の年二回、この焼成を行っています。
一日目:じっくりと温度を上げる
焼成の一日目は、窯の中の湿気を飛ばすことが目的です。素焼きが終わった器でも、施釉後に水分を含んでいます。急に温度を上げると、その水分が蒸発する際に器が割れることがあります。最初の六時間は200度前後をキープしながら、ゆっくりと温度を上げていきます。
薪は最初、細い割り木を少量ずつ使います。大きな薪を早い段階で入れると温度が急上昇するため、一日目は細い薪で火を安定させることに集中します。
二日目:最高温度に向けて
二日目の午前中から、温度の上昇ペースを上げていきます。目標は1,250度前後です。この温度に達すると、灰釉が溶け始めます。温度計の数値だけでなく、炎の色と煙の状態も確認しながら進めます。
最高温度に達したら、その温度を一定時間保持します。この「焼き締め」の時間が短すぎると釉薬が十分に溶けず、長すぎると流れ落ちます。Lineage Coreでは、灰釉の場合は最高温度で約40分保持しています。
三日目以降:自然冷却と窯出し
最高温度に達した後は、薪をくべるのをやめ、自然冷却に移ります。窯の扉を密閉したまま、五日から六日かけてゆっくり冷やします。急冷すると器にひびが入るため、この冷却期間は短縮できません。
窯を開けるのは、窯の外壁が手で触れられる温度になってからです。窯出しの朝は、毎回緊張します。釉薬の色が予想と違うこともありますし、割れている器が出ることもあります。それも含めて薪窯焼成の一部だと思っています。
薪窯の焼成スケジュールは、工房のSNSでお知らせしています。窯出し後の作品はお問い合わせはこちらからご確認いただけます。